こころと身体は密接に関係しています。気分が落ち込んでいるときは、身体も重く元気も出ません。逆に体調が安定しているときは、ハツラツとした気分で前向きになれます。これは、誰もが経験されていることでしょう。また、私たちが普段何気なくとっている‘姿勢’。言わずもがな‘身体の姿’のことですが、こころと身体の関係性から言うと‘姿勢’は‘こころの姿’ということになります。肩に力の入った不安緊張の姿勢、斜に構えた拒絶の姿勢、あるいは、前のめりの待てない姿勢もあるでしょう。私たちの身体は不安な時には緊張し、リラックス時には弛緩していることは言うまでもありませんね。今野(2005)は『姿勢が習慣化すると、今度はその姿勢がこころの働きを規定する枠組みとして機能するようになる』と述べています。首や肩に力が入っていたり、背中を丸める姿勢をとることでよりいっそう、不安や緊張を感じやすくなり、ネガティブな自己認知や外界認知を引き起こす(今野,2005)。つまり、姿勢の習慣がこころの習慣になってしまうというのです。それを防ぐためには、上手にリラクゼーションし、姿勢をリセットすることが必要になってきます。

ストマネ和太鼓は、上手にリラクゼーションし、姿勢をリセットすることでストレスをコントロール可能なものに変えようという試みです。姿勢のリセットは、普段使うことのない筋肉を使う和太鼓セッションと呼吸法やとけあい動作法などのボディワークによるリラクゼーションの二つからアプローチします。

■和太鼓セッションに期待できること
・構えの姿勢…どっしりと安定した踏みしめ感を体得できる
・腕の振り…自分の意志で身体を動かしているというコントロール感を持てる
・響く音…打った通りに響く太鼓の音は達成感や自己効力感につながる
・かけ声…外に解き放たれたエネルギーと人とつながるコミュニケーションを実感できる
これらを通し、頭から足先までのボディイメージを喚起、あるいは醸成します。

■ボディワークに期待できること
・呼吸や脈拍の安定により落ち着き感を促す
・他者の手の重みや温もりにより癒しがもたらされる
・身体に意識を向け、筋緊張に気付けるようになる
・筋緊張に気付くことで意識的に弛緩できるようになる
これらを通し、身体に感じるストレスを自己管理できるように促します。

引用文献
今野義孝(2005)とけあい動作法【心と身体のつながりを求めて】 学苑社.

 
Copyright(C) 臨床和太鼓研究所PON-DON.All Right Reserved.